【作業事例】ARION SCH-ZD筐体交換

今回は少しイレギュラーな作業事例でエフェクターの改造作業です。
エフェクターの修理、改造は何でも出来るわけではないので、大々的に受付はしてないのですが、ご相談の上で無理のない内容であれば対応しています。(エフェクターの修理、改造は見積り段階で見積もり料3,000円~が発生します。)

ARION SCH-ZD

ARIONのSCH-ZDというステレオコーラスです。
最近はあまり見かけなくなりましたが3,000円代という驚異的な価格で販売されていたエフェクターです。
しかしそのサウンドは侮ることができず、独特の温かみのあるコーラスサウンドにはファンも多く、近年では中古市場で新品価格より高い値段で取引されていることもあります。

今回のお客様もこのサウンドに惚れ込み、自身の求めるサウンドには必需品となっているのだけれども、ノイズをなんとかできないかとのことでご相談いただきました。
サウンドに出来るだけ影響を与えずにノイズを遮断するという方向性で相談の上、回路には手を加えずにプラスチック製の筐体をシールド効果のあるアルミダイキャスト製の筐体に交換することになりました。

回路

SCH-ZDを分解して、中身をチェックしていきます。
分解してみるとジャックやPOT等すべてのパーツが基盤にのみ固定されている構造であることがわかりました。
この構造だと完全に同じサイズの筐体でなければパーツを流用することは出来ません。
小さければ基盤が入らないし、大きければ左右のジャックが内側に入ってシールドを刺すことができなくなります。

色々と探してみましたが丁度いいサイズの筐体は見つからなかったため、パーツ類は筐体に固定できるものに交換することにしました。
スイッチは最初から流用できないと考えていましたが、ジャックもPOTも流用できないとは正直予想外でした。

一回り大きいサイズの筐体を加工してパーツの取り付け穴を開けていきます。

穴開け

無駄に大きなサイズの筐体にはしたくなかったので、パーツ同士が干渉しないように何度も確認してパーツの配置を決めました。

穴開けが終わったらパーツ類を取り付けて基盤と配線します。
回路図を持っているわけではないので、基盤の何処に元のパーツのどの端子が接続されていたのか一つずつ確認しながらの作業になります。
一箇所でも間違えたり、ハンダ付け不良があれば音が出ず、原因究明に非常に時間がかかるので慎重に作業を進めます。

全ての配線が終われば作業完了です。
ノブだけは元のパーツを流用することができました。

完成

サウンドチェックしてみると、狙い通りにノイズは小さくなっていました。
結果的にはパーツ類を高品質の物に交換したのも功を奏したと思います。

今回の改造には新品のARION SCH-ZDが何台も買える金額の改造費用がかかりました。
それでも求めているサウンドの為には必要な改造だったとご満足いただけました。

改造したエフェクターのサウンドが聞けるのは次回作以降になりますが、今回のお客様の高い拘りの上に作られた作品はこちらから聞くことができます。
https://tangingugun.bandcamp.com/music

筐体交換の他にもトゥルーバイパス化やパーツの交換などの作業も承りますのでご相談ください。

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