Ovation Super Adamasのネック修理をご依頼いただきました。
症状は
弦を張るとネックのヒール部分が約10mm浮いてしまう
というものです。
お客様は当店にご連絡いただく前に、すでに3件のリペア工房へ相談されていましたが、すべて修理不可と断られてしまったそうです。
Ovationのギターは一般的なアコースティックギターとは構造が大きく異なるため、修理経験の少ないリペアマンにとっては難しい作業になることがあります。
まずは現物を確認させていただきました。
ご相談内容
今回ご相談いただいたギターは、弦を張るとネックのヒール部分が約10mm浮き上がる状態でした。
ネックが浮いてしまうと
・弦高が極端に高くなる
・チューニングが安定しない
・演奏が困難になる
といった問題が発生します。
ここまで大きく浮いてしまう症状は比較的珍しく、まずはネックジョイントの構造を確認する必要があります。
ボディ内部にアクセスできない特殊構造
実際に確認すると、この個体は
・ボディに裏蓋がない
・サウンドホールがない
という構造でした。
そのためボディ内部に手や工具を入れることができません。
一般的なアコースティックギターのネック修理では、ボディ内部からクランプを使用してネックジョイントを固定しながら接着を行います。
しかしこの構造では内部からクランプをかけることができないため、通常の接着修理が難しい状態でした。
ネックジョイントの状態確認

まずは熱を加えながら指板部分の接着を外し、ネックジョイントの構造を確認しました。


ネックジョイントは
・ネック側にわずかな突起があるのみ
・ボディ側の掘削部分とのサイズが合っていない
・隙間をゴムのような接着剤で埋めている
という状態でした。
さらに接着剤は劣化しており、触るとブヨブヨと柔らかく、簡単に崩れてしまいます。
この接着剤が劣化したことでネックが固定できなくなり、ヒールが浮いてしまったようです。
問題は
どの方法でネックを固定するか
でした。
ボルト固定によるネック修理
お客様とご相談の結果
・劣化した接着剤を除去
・ボルトでネックを固定
という方法で修理を行うことになりました。
具体的には
・ネック側にスタッドを埋め込み
・ボディ内部から低頭六角ボルトで固定
という構造に変更します。
六角レンチであれば、指板横にある小さなサウンドホールから工具を入れることが可能です。
外観への影響もほとんどなく、サウンドホールから覗くと僅かにボルトの頭が見える程度に収まります。

高精度が求められる穴あけ作業
今回の修理で最も難しいポイントは穴あけ精度です。
通常のボルトオンネックであれば
・ネックとボディをクランプで固定
・その状態で穴あけ
を行うため、一直線の正確な穴を開けることができます。
しかし今回は
・ボディ内部にドリルが入らない
・ネックとボディを別々に穴あけする必要がある
という条件でした。
穴の位置や角度が少しでもずれると
・ヒール部分に隙間ができる
・ネックがズレる
・演奏できない状態になる
可能性があります。
何度も確認しながら慎重に位置決めを行い、精度を確保した状態で穴あけ作業を行いました。




修理完了
組み込み後に確認すると
・ヒール部分の隙間なし
・ネック固定強度も十分
という状態になり、問題なく修理が完了しました。
ネックがしっかりと固定され、通常通り演奏できる状態に戻りました。






Ovationのネック修理が難しい理由
Ovationのギターは一般的なアコースティックギターとは構造が大きく異なります。
主な特徴として
・ラウンドバック構造
・ボディ内部にアクセスしにくい
・モデルによってネック構造が異なる
といった点があります。
そのため、通常のアコースティックギターと同じ方法では修理できない場合があります。
楽器の状態や構造を確認しながら、その個体に合った修理方法を検討する必要があります。
ネックが浮いているギターを放置するとどうなる?
ネックが浮いた状態で使用を続けると
・弦高が高くなる
・チューニングが安定しない
・ネックがさらに浮く
・最悪の場合ネックが外れる
可能性があります。
症状が軽いうちであれば修理方法の選択肢も多くなるため、違和感を感じた場合は早めの点検をおすすめします。
他店で修理を断られたギターについて
ギターの修理は、楽器の構造や状態によって一般的な修理方法が使えない場合があります。
そのため工房によっては修理不可と判断されるケースもあります。
しかし修理方法を工夫することで対応できる場合もあります。
今回のように
・特殊構造のギター
・一般的な修理方法が使えないケース
でも、状態によっては修理できる可能性があります。
Ovationのネック修理のご相談について
楽器工房FROGSでは
・ネック浮き
・ネックジョイント修理
・弦高トラブル
・他店で断られた修理
などにも可能な限り対応しています。
遠方のお客様からのご依頼にも対応しており、宅配での修理受付も可能です。
修理のご相談は下記ページからお気軽にお問い合わせください。
よくある質問(FAQ)
Ovationのネックは修理できますか?
Ovationのネック修理は可能な場合が多いですが、構造が特殊なため一般的なアコースティックギターと同じ方法では修理できない場合があります。状態を確認したうえで修理方法を検討します。
ネックが外れたギターは修理できますか?
ネック外れは多くの場合修理可能です。接着の劣化やネックジョイントの問題であれば、接着修理やボルト固定などの方法で修復できる場合があります。
他店で断られた修理でも対応できますか?
楽器の構造や状態によっては一般的な修理方法が使えない場合があります。当工房では状態を確認し、可能な修理方法を検討いたします。
Ovationの修理はどこに依頼すればいいですか?
Ovationは特殊構造のギターのため、修理経験のあるリペア工房へ相談することをおすすめします。

