セルフチェック方法(アコースティックギター編)

あなたの楽器の状態はいかがですか?

・前より弾きにくくなった気がする
・音づまりするポジションがある
・音が小さくなった
・音程が合わない

どれも普通に使っているだけでもギターにはよく起こる変化です。

また、あなたが慣れてしまっているだけで楽器の状態としては異常があることもよくあります。
早めに修理をすれば簡単に治る異常でも、放置されることで大規模な修理が必要になることがあります。
大規模な修理になれば当然修理費用も高くなり、購入した価格よりも高い修理費用が必要になるなんてこともあります。

数分でできる内容なので、定期的に楽器の状態をセルフチェックしてベストな状態を保ちましょう。

①チューニング

まずはチューナーを使ってしっかりとチューニングを合わせます。

演奏時に半音下げ、ドロップD、DADGADなどを使用する場合でも、まずはレギュラーチューニングでチェックしてみることをオススメします。
レギュラーチューニングで調整した後に、変則チューニングに合わせて微調整をしましょう。

チューニングが合わない場合は異常があります。
演奏することが出来ませんのですぐに修理が必要です。

チューニング
チューナーを使って正確にチューニングしましょう。

②ネックの状態チェック

チューニングを合わせた状態でネックの状態をチェックします。

目視でチェックする方法もありますが、慣れていないと誤った判断をしがちなので弦を使ったチェック方法をオススメします。

左手で6弦1Fを押さえます、右手の親指で6弦15Fを押さえて、右手の中指で6弦7Fをタッピングします。(指が届かなければ15Fじゃなくて12Fでも大丈夫です。)

ネックの状態チェック1
ナットの高さに影響されないように左手で1Fを押さえています。

タッピングしても全く音が鳴らない、7Fと弦が密着している場合はネックの状態は逆反りです。

7Fと弦の間に1mm以上の隙間がある場合は順反りです。

わずかに隙間があり、タッピングしたらカチカチと音がなる程度にトラスロッドで調整します。

次に左手で6弦5Fを押さえます、右手の親指で最終Fを押さえて、右手の中指で12Fをタッピングします。

ネックの状態チェック2
ナットの高さとローポジションの反りに影響を受けないように左手は5Fを押さえています。

12Fと弦の間に隙間がある場合はハイ起きしています。

12F以降のハイポジションはトラスロッドでの調整がほぼ効かないため、修理が必要です。

同様に1弦でもチェックしていきます。
6弦と1弦で7Fおよび12Fと弦の隙間の広さが違う場合はネックがねじれています。

ねじれは調整では修正できないため、修理が必要です。

③ナットの状態チェック

各弦で3Fを押さえた時の1Fと弦の隙間をチェックします。

ナットの状態チェック
撮影の為、左手の人差し指でタッピングしていますが右手でタッピングしたほうがやりやすいです。

隙間なく密着している場合はナット溝が深すぎます。
開放弦を弾いた時にビビりが発生するはずです。
ナットの交換が必要です。

隙間が1mm以上ある場合はナット溝が浅すぎます。
弦高が高くなるため、弾きにくく、押弦時の音程が合わなくなります。

隙間が弦の太さと同程度がちょうどいい深さです。
軽くタッピングした時にカチカチと音がなるくらいの隙間です。

④ブリッジ浮きのチェック

接着されているブリッジがボディTOPから剥がれていないかチェックします。
見た目ではわからなくても、紙などの薄いものを当ててみると隙間があることがあります。
そのままだとボディTOPの鳴りを阻害してしまいます。

ブリッジ浮きのチェック
ブリッジが浮き、剥がれ始めていると紙の角が下に入り込みますが、画像のものは浮いていないため入り込みません。

隙間に接着剤を流し込むだけではくっつきません。
挑戦するのは止めておきましょう。
修理に出した時に接着剤除去の追加料金を取られるだけでなく、最悪の場合は修理不可能になります。

⑤弦高のチェック

12Fの上端から弦の下端の隙間で計測します。

弾き方によってベストな高さは若干変わってきますが、平均的な値は1弦が2.0mmで弦が太くなるにつれて徐々に高くなっていき、6弦が2.5mm程度です。

弦高のチェック
画像のギターでは6弦で2.0mm。低めの弦高になっています。

好みでもっと高くても低くても良いのですが、2.0mm~2.5mmに合わせられない場合や、この弦高で弾いた時にビビりが出る場合はどこかに不具合があります。
ネック、フレット、ブリッジ、ネックジョイント部など様々な原因が考えられる為、判断が難しい部分ですのでご相談いただければと思います。

⑥ビビリのチェック

全弦、全ポジションを弾いてみてビビリや音詰まりがないかチェックします。

ビビリのチェック
1Fずつしっかりとピッキングしてチェックします。

⑦フレット浮きのチェック

フレットが指板から紙一枚分でも浮いているとビビらなくても、音色にバラつきがあったり、音の伸びが悪かったり出音に不具合が出ます。

フレット浮きのチェック1
よく見ると矢印のフレットが浮いています。

目視ではわからない隙間が無いか、フレットと指板の間に紙などを当ててチェックしてみてください。

フレット浮きのチェック2
両端はしっかり密着していても、中央だけが浮いていることもよくあります。

⑧オクターブチューニングのチェック

各弦で12フレットを押さえて弾いたときと、12フレットのハーモニクス音が同じ音程かチェックします。

ここがピッタリと合っていないと、フレーズを弾いても音痴になってしまいますし、コードを弾いた時も音が濁ります。

オクターブチューニングのチェック
ここでもしっかりチューナーを使ってチェックしましょう。

まとめ

①から順番にチェックを進めて、全ての項目が問題なければ楽器は大体正常な状態です。
仕様によっては追加でチェックが必要な項目もありますが、ここでは割愛させていただきます。
この状態からさらにご自身の好みに合わせてセッティングを詰めていっても良いと思います。

何か問題があったり、自信がない、面倒だという場合はお気軽にご相談ください。

セルフチェックAG
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