ギターは多くのメーカーで大量生産される工業製品として作られています。製造工程では精密な機械や熟練の職人が関わっていますが、工場を出荷する段階で一つひとつの個体に対して「演奏者のための細やかな調整」までは行われていません。
そのため、購入したばかりの新品ギターでも、実際に演奏するとなると弾きづらさや音のバランスの悪さを感じることがあります。ここで大切になるのが購入後のセットアップ調整です。
なぜ出荷時は十分な調整がされていないのか?
- 大量生産のため、出荷基準は「誰が弾いても大きな問題がない状態」に留まる
- 工場出荷後、海外からの輸送や保管の環境で湿度・温度によりネックや木材の状態が変化する
- 演奏スタイルや好みによって、理想的な調整は人それぞれ違う
つまり、出荷段階では「万人向けの平均点」でしかなく、そこから自分に合った楽器に仕上げる作業が必要なのです。
当工房では作業前に演奏ジャンルや演奏方法などを問診票にてご回答いただくことで、個々のお客様に合わせた最適なセッティングを提案させていただいております。
セットアップで行う主な調整内容
1. フレットすり合わせ
フレットの高さにはわずかなバラつきがあり、それがビビりや音詰まりの原因になります。
フレットの浮きを修正してから、フレットの高さ、形状を均一に整えることで、音の伸びや弾きやすさ、音程が格段に向上します。
2. ナット溝の調整
ナットの溝が深すぎたり浅すぎたりすると、開放弦の音程が狂ったり、弾き心地が悪くなります。
使用する弦に合わせて正しい高さ・幅に調整することで、チューニング精度や演奏感が大きく改善されます。
3. ネック調整・弦高調整
弦高が高すぎると押さえにくく、低すぎるとビビりが出ます。
ネックの反り具合と合わせて適切に調整することで、快適な演奏性を確保できます。
これらの作業をまとめて行うことで全体をバランスよく調整し、最適な状態にセットアップするのが当工房のプレミアムセットアッププランです。
プレミアムセットアップで得られるメリット
- 弾きやすさの向上 → 練習が楽しくなる
- 音程の安定 → バンド演奏でも安心
- 自分好みのフィーリングに → 長く愛用できる相棒に育つ
- まとめて複数の作業を行う→作業代金を抑えられる
新品であっても「まだ未完成な状態」であるギターを、セットアップを通して本当の意味での楽器へと仕上げていく。
これがギターを長く楽しむための第一歩と言えるでしょう。
まとめ
ギターは工業製品として生まれますが、演奏者に寄り添った“楽器”にするには購入後のセットアップが欠かせません。
フレットすり合わせやナット調整といった作業を行うことで、演奏体験は大きく変わります。
「買ったばかりだから調整は不要」と思わずに、ぜひ一度セットアップを検討してみてください。

