
クラシックギターの弦は、アコースティックギターやエレキギターの弦とは異なり、ボールエンドのないシンプルな構造のものが主流です。
そのため、ブリッジ側での適切な固定方法を習得していないと、演奏性やチューニングの安定性に悪影響を及ぼします。
これまでに100本以上のクラシックギターを見てきましたが、構造がシンプルな分、弦の張り方にもさまざまなバリエーションがあり、「これが正しい」と断言できる方法はないように感じます。
その中でも、演奏性・安定性・見た目のバランスが優れたおすすめの張り方をご紹介します。
①弦の長さを決める
まず、6弦をペグ側からブリッジに通し、ブリッジ側で固定するための長さを決めます。
クラシックギター弦の中には、メーカーによって片側から約10cmほど柔らかく加工されているものがありますが、柔らかくなっていない方をブリッジに通すようにします。
弦は後でカットするので長めに残して構いませんが、ブリッジから約8cm程度残すと巻きやすくなります。

②6弦をブリッジに固定する
弦の長さを決めたら、ペグ側の弦の下をくぐらせて折り返します。

その折り返した先端を、6弦側から5弦側に向けて、弦とブリッジの隙間に通し、弦に巻き付けます。
ブリッジのサイズにもよりますが、隙間なく3回ほど巻き付けると、ブリッジの側面まで弦が届きます。

巻き付けた後も、余った弦はまだ切らずにそのままにしておきます。
弦が緩まないように、ペグ側に引っ張ったまま、次の工程へ進みましょう。
③6弦をペグに固定する
ブリッジから引っ張った弦を、ペグの穴に通します。
アコースティックギターやエレキギターのように、長さに余裕をもたせる必要はありません。

通した弦の先を折り返し、ナットとペグの間の弦の下をくぐらせてヘッド側に引っ張ります。
このとき、6弦は外側から内側へ弦を通します。

余った弦を引っ張った状態で、ペグを回して弦を巻き付けていきます。
巻く方向は、余った弦の先端とは逆(6弦の場合は外側)になります。
ペグポストが半周ほど回転すれば、引っ張っていた弦を離しても緩まなくなります。

④5弦をブリッジに固定する
続いて5弦を張ります。このとき、6弦の余った弦を一緒に巻き込むように固定することで、先端が手やボディに当たって傷つけるのを防げます。
5弦をブリッジに通す際は、余っている6弦の下を通すようにします。

その後、6弦と同様に折り返し、3回巻き付けて固定します。
固定後の状態をボディエンド側から見ると以下の画像のようになります。

⑤5弦をペグに固定する
5弦も同様に、弦をペグの穴に通し、折り返してナットとペグの間の弦の下を通してヘッド側に引っ張ります。
ただし、5弦は内側から外側に向かって弦を通します。
巻き付ける方向も、余った弦の先端と逆(5弦は内側)になります。

⑥残りの弦を張る
6弦の余った部分をカットしたら、残りの弦も同じ手順で張っていきます。



ペグに弦を巻く方向は弦によって異なり、ナット部分でできるだけまっすぐ通るように張るすることが重要です。
- 6弦・1弦:内側から外側に巻く
- 5弦・4弦・3弦・2弦:外側から内側に巻く
弦を巻いてチューニングを合わせたら、余った弦はカットします。

⑦最後に
クラシックギターの弦は非常に伸びやすく、チューニングが安定するまで時間がかかります。
チューニングを合わせた後は、弦を軽く引っ張って伸ばし、再びチューニングを合わせる、という工程を4〜5回繰り返してください。
これにより、徐々にチューニングが安定していきます。