TokaiのレスポールスペシャルタイプのギターLSS64のメンテナンスのご依頼を頂きました。
全体的なメンテナンスに併せて、ストラップピンの取付穴が広がってしまい、ストラップピンが抜けるのを修理して欲しいとのご依頼でした。
上下ともストラップピンの穴が広がり、簡単に手で抜けてしまう状態でした。
ロックピンに交換する際に、しっかりとビスに合わせた下穴を開けずにねじ込んだ際などによく起こる症状です。
大抵の交換用ロックピンは太く長いビスが採用されているため、そのままねじ込めば簡単に取付れそうな感じがしますが、木部のネジ山はズタズタになって強度が落ちてしまいます。
しっかりと新たなビスに合わせた下穴を開けることが大切です。
傷んだ木部を除去するために一回り大きいサイズで下穴を開けて、埋め木で埋めていきます。
乱暴なリペアマンだと「爪楊枝を突っ込んで穴を狭めてネジを締めとけば良い」なんて言う人もいますが、爪楊枝ごとビスが抜けているのを何件も見たことがあるのでその方法はオススメしません。
ビスの山がしっかりと360°木部に引っかかる状態にしなくては十分な強度を得られません。
埋め木を面一までノミで削ってから中心に下穴を開けます。
ビスの80%程度の太さで開ければ割れることもなく、強度も得られます。
一度ビスをねじ込んで木部にビス山を刻みつけます。
これでもそれなりに強度は出るのですが、念のためにさらに補強をします。
一度締めたビスを外して、低粘度の接着剤を染み込ませることで、埋め木に刻み込まれたビス山の溝を補強します。
付けて外してと二度手間ではありますが、こうすることで格段に強度が上がり、激しいステージでの動きでも長く耐えられる耐久性を持たせることができます。
また、摩擦力も上がるため、緩みの防止にも繋がります。
ストラップピンをしっかりと締め込んで作業は完了です。
ストラップピンは楽器を支える要になる部分です。
緩めば楽器が落下して破損や怪我につながるため、定期的に緩んでないかチェックすることをオススメします。
ご自身でロックピンに交換された方や、ラバー系のストラップロックを使用されている方は特に注意が必要です。
大事故に繋がる前にしっかりとメンテナンスをしていきましょう。